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セスク ファブレガス (ESP)
急成長のファブレガス
これまで地元スペインではあまり目立たない存在だったセスク・ファブレガスだが、ここ数ヶ月のアーセナルでの爆発的な好調ぶりに状況は急変している。
カタルーニャ地方出身の新星ファブレガスは、UEFAチャンピオンズリーグ決勝トーナメント・ベスト16のレアル・マドリード戦で多大な活躍をみせ、その直後の国際試合デビュー戦で見せたパフォーマンスと併せて、2006年FIFAワールドカップに向けルイス・アラゴネス監督率いる23名の代表入りの可能性も出てきた。

新旧を含め多くのサッカー選手の中でもとりわけファブレガスを絶賛するのは、かつてのアーセナルの人気者ポール・マーソンである。最近のインタビューでマーソンは次のように語った。「彼のパフォーマンスから判断して当然代表入りするべきだか、もしその通りスペイン代表入りを果たせば、今年のワールドカップでは主役になりかねない。それほどの実力の持ち主だ」。ファブレガス本人はいつもの謙遜ぶりをみせ、代表入りについては「ぜひともドイツ大会に出場したい。とはいっても、これまでトップチームでプレーした経験は1度しかないけどね」とコメントしている。

スペインのチームプロフィールを読む

いずれにせよ、早熟なミッドフィルダーはスペイン代表ジュニアチームにおいて素晴らしい実績を残している。出場資格年齢に達したばかりの2003年FIFA U-17世界選手権フィンランド大会では、決勝でブラジル代表に敗れ惜しくも準優勝に終わったものの、最優秀選手賞と得点王に輝いた。

この大会での実績は、アーセナル移籍へのステップとなった。ファブレガスは、イングランドの一流クラブのトップチームでプレーする可能性を求めて、FCバルセロナのユースを後にしたのだ。わずか16歳という年齢でのこの決断はかなり大胆なものでリスクも大きいが、彼自身この決断に満足していると主張する。「16歳という年齢でこの決断に踏み切ったことについては満足している。多くの人たちから信頼を得ているということにも光栄に思うよ」。

新しい環境への順応期間を経て、ファブレガスはアーセナルのトップチームでのポジション確保を目指して、すぐさま再始動した。現在ではクラブにとって最も力のあるプレーヤーの1人として、地位を確立している。ほかの誰よりも彼の功績を高く評価するのは、監督を務めるアーセン・ベンゲルである。チームにとって貴重な存在として高く評価されるファブレガスのプロとしての成長を、監督は父親のように見守ってきた。

「フットボールは、1本のロープのようなものだ」とファブレガスは説明する。「そのロープの先端にはすべての源であり常に支えとなってくれる家族と仲間たちがいて、そのロープをたどっていくとさらなる助力を与えてくれる支援者たちにたどり着く。僕にとっては、アーセナルという一流クラブでプロデビューするチャンスを与えてくれたアーセン・べンゲル監督がまさにその人なんだ。どんな時も親切に惜しみなく後押ししてくれた。監督には感謝のしようがない」。

バルセロナから移籍して1年後、才能あるティーンエイジャーは、べンゲルからプレミアリーグでのデビュー戦を言い渡される。2004/05シーズンの開幕戦、相手はエバートン。スペイン出身のファブレガスは、アーセナルの最年少選手としてそのデビュー戦を飾ったが、その時点で既に彼はアーセナルの拠点ハイベリーでいくつかの記録を樹立していた。リーグカップで同点に終わったロゼラム戦に、わずか16歳177日でスタメン出場。ガナーズの最年少トップチーム試合出場選手となる。その35日後のウルブス戦ではアーセナルの最年少得点記録を樹立した。

ファブレガスの活躍はまだまだ続く。同シーズン後半にはチャンピオンズリーグでアーセナルが引き分けたセルタ・デ・ヴィーゴ戦に出場。アーセナル所属の大陸クラブ世界一決定戦最年少出場選手となり、続いてヨーロッパ最年少得点選手という新たな記録も残した。

巨人の闊歩
10代らしくはにかみを含んだそのルックスや、明らかに成長途中だと感じさせる体格に、ファブレガスの実力をみくびったとしても致し方ない。だが、ピッチに上がった時の独創的なミッドフィルダーを一見すれば、彼のサッカープレーヤーとしての完成度は否定できないだろう。稀にみる天性の才能で相手の動きを察知し、パス出しは正確で失敗もほとんどない。細身の体格をうまく利用して巧みなサイドステップで絶妙なタックルさえもかわす。

そこそこのスピードにも恵まれ、スキをみつけては自らゴールも狙って行く。「例えば軸足である左足の動きや、空中戦での実力など、自分のサッカーにはまだ成長の余地がある。幸いにも僕はまだ若いから、万事うまくいけばこれから先まだまだスキルを磨く時間がある」と本人も語っている。

昨年6月、ファブレガスはスペイン代表メンバーとしてFIFAワールドユース選手権オランダ大会に出場した。残念ながら、彼の懸命の努力にも前大会王者は準々決勝でアルゼンチン代表に敗退。驚異のティーンエイジャー、リオネル・メッシに先導され、アルゼンチン代表が優勝の栄冠に輝いた。

しかしながら、2005年はファブレガスにとってこれ以上申し分のないシーズンとなった。スペイン代表のルイス・アラゴネス監督から、2006年ドイツ大会の代表入りが検討されている選手を集めてのインフォーマルな親睦会へも招待された。今年3月には、コートジボワールとの国際親善試合に代表デビューを遂げ、彼のワールドカップ出場の可能性はさらに強固なものとなった。メディアの注目が高まり代表入りへの期待が大きく膨らむ最中、ファブレガスは厳しい局面でも普段以上の実力を発揮。冷静で沈着した態度で中盤での役割をまっとうし、いつの間にか1938年アンヘル・ズビエタに次ぐ史上2番目に若いスペイン代表メンバー誕生への道を着実に歩んできている。

「人生で最高に幸せな瞬間」と試合後のインタビューで答えるファブレガス。「監督とファンからたくさんのサポートを受け、いいプレーができた。緊張に満ちた、ちょっと尋常じゃない1週間だったよ。落ち着いて現実を見つめて、冷静な判断をもって物事に取り組みたい。自分を取り囲む環境すべてが急進展している。若干18歳の僕にとってはあまりにも物事が急速に進み過ぎているかもしれない」と付け加え、年齢以上の落ち着きを示して見せた。

最近行われたチャンピオンズリーグでのレアル・マドリード戦とユベントス戦では巧妙な好プレーの数々を披露した。多くの熱狂的なファンを虜にし、すでにサッカー選手としての成功をも手にしている。陶然のことながら、数々のトップクラブがファブレガスに羨望のまなざしを送っているものの、差し当たって彼はアーセナルで目標達成に集中するつもりだ。アラゴネス監督の注意を引くことができたのも、所属クラブのアーセナルあってのことなのだから。

素晴らしいシーズンに裏付けられた自信に溢れるファブレガス。用心深い彼のこと、今夏は予定を空け、スーツケースを手元に置きつつ、いつでも祖国スペインの代表召集を受けられるよう備えていることだろう。代表入りが果たせれば、彼のバルセロナユース時代の朋友、またライバルでもあるメッシ率いるアルゼンチンへの雪辱を晴らすチャンスがくるかもしれない。
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サッカーFC事典 2007/10/02/Tue 10:17
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